怒りにかられると視野が狭窄して妄想的になる人がいる一方で、極端なリアリストになる人がいる。そして実は、両者は表裏一体でもある。妄想にとりつかれると人はリアリストになりやすく、リアリストは妄想にとりつかれやすい。(中略)
こうした❝リアリスト❞的傾向が強くなればなるほど、中長期的には引きこもり傾向が強くなるんです。心のなかに怒りが増し、友人関係が狭くなり、人間不信になっていくのです。
―「自分を支える心の技法」名越康文 医学書院 2012
2015年公開の映画『セッション』は、音楽学校でドラムを学ぶ青年の話なのだが、特筆すべきは、その主人公の青年が「特別な才能がない人」だということだ。
(中略)
こんな状況で主人公がすることはただひとつ、「努力だけ」なのだ。
僕が注目するのはこの映画を作った監督、デミアン・チャゼルが当時まだ29歳の若者だったという点だ。つまんねぇ夢なんか見て、起こりもしない奇跡を待つより、「限界まで努力する」主人公は、過去の自分をモデルにしている。
神よ、私たちにお与えください。自己責任は50%、自分ではどうしようもないことが50%くらい、と考えている状態が、自分に甘すぎず厳しすぎず、ちょうどいいくらいのバランスなんじゃないだろうか。
変えることができるものについて、それを変える勇気を。
変えることができないものについては、それを受け入れるだけの冷静さを。
そして、変えることができるものと変えることができないものを見分けられる知恵を。